沖縄県での流行から広がり、今名古屋でも患者が急増しているはしか。
感染力が高く、空気感染するので連休をきっかけに日本中で大流行する可能性も指摘されています。
とはいえ、ニュースだけでは不安ばかりが大きくなって、
実際どうすればいいのか、どういう病気なのか、いまいちよく分からない人も多いと思います。
というかぼくもそうです。
今朝はしかの予防接種に行ってきたので
- はしかについて調べたこと
- 先生に聞いた実際のところ
- はしかにかからない為にはどうすればいいのか
をまとめておこうと思います。
はしかとは
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
(出典:厚生労働省「麻しんについて」)
はしかとは麻疹(ましん)というウイルスに感染することで発症する感染症です。
毎年春から初夏にかけて流行する病気で、
感染力がとても強く、インフルエンザの10倍の感染力があるといわれています。
重症化しやすく、合併症によって亡くなることもある恐ろしい病気です。
乳幼児の罹患率、そして死亡率が今よりずっと高かった江戸時代では
「命定め」と呼ばれるほど恐れられていました。
かの徳川綱吉もはしかで命を落としたといわれています。
しかし現代ではワクチンの普及によって予防法が確立しています。
流行が恐れられている現在も、ちゃんとした知識と冷静な対策を施すことが大切です。
また、症状が似ていることから風疹(ふうしん、3日ばしか)とも混同されることが多いですが、全く別の病気です。
なのでそれに対するワクチンも抗体も別物。
「昔麻疹にかかったから風疹にはかからない」
「風疹のワクチン打ったからはしかも平気だ」
ってのは大きな間違い!
ぼくも昔親から「3日ばしかにかかって大変だった」って聞いてたのでてっきりもう平気だと思い込んでました。
※現在は単独ワクチンでなく、麻疹と風疹の両方の抗体をつくるMR(麻しん風しん混合)ワクチンもあります。自分がどの予防接種をしてあるかは確認しておくとよいでしょう。
はしかの症状
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。
(出典:厚生労働省「麻しんについて」)
はしかは10日間ほどの潜伏期を経て、発症します。
発熱が2〜3日続いた後、一度落ち着き半日ほど後に高熱と共に発疹が出現します。
はしかの症状については墨田しろさんという方がTwitterに投稿した体験談の漫画がとても詳しいです。
めちゃ怖いですが、読んでみてください。
18歳のころはしかにかかった話をかきました。
GWご注意下さい…#はしか #麻疹 pic.twitter.com/BTeCWkB9bI— 墨田しろ (@sumidashi6) April 30, 2018
予防接種に行ってきた
定期接種の対象年齢の方々(1歳児、小学校入学前1年間の幼児)は、積極的勧奨の対象ですが、定期接種の時期にない方で、「麻しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない方」は、かかりつけの医師にご相談ください。
平成2年4月2日以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻しん含有ワクチンを受けることになりますが、それ以前に生まれた方は、1回のワクチン接種のみの場合が多いと思います。また特に医療従事者や学校関係者・保育福祉関係者など、麻しんにかかるリスクが高い方や麻しんにかかることで周りへの影響が大きい場合、流行国に渡航するような場合は、2回目の予防接種についてかかりつけの医師にご相談ください。
(出典:厚生労働省「麻しんについて」)
ぼくは今年で33歳。
しかも不特定多数の人の前に出る仕事なので、予防接種受けないわけにはいかない!
ということでGWの後半前となる今日、なんとか予防接種に行ってきました。
予防接種はワクチンを取り寄せないといけない病院、予約制の病院、充分に用意がある病院と、施設によって差があるので行く前に一度確認しておくのをオススメします。
ぼくも調べて予約の要らない病院に朝8時半から並んで行って来ました!
流石にGWの中日ともあって、診療受付前から長蛇の列。
3分の1くらいがはしかの予防接種でした。
問診票をよく読んで
お金を支払います。
約8000円の出費……しかしこれで安心が手に入るのなら!
予防接種代は自治体や抗体の有無によって補助が出ることもあるので一度確認してみると良いでしょう。
先生に色々聞いてみた
そしていよいよ注射タイム。
せっかくなので病院の先生に色々聞いてみました。
こういうのは現場の人に聞くのが一番です。
Q.やっぱり2回打った方がいいですか?
A.ぶっちゃけ大人で2回打つ人ほとんどいないよ。
え?何その冷ややかな反応。
Q.でも2回しないとかかる可能性あるんですよね?
A.それはなんとも言えない。けど1回打てばかなり可能性は低くなるし、万一かかっても今は死ぬ病気じゃないしね。
そ、そうなんですか……。
少し安心できました。
Q.もう今日からワクチン効きますか?
A.全然まだ!ワクチンが効くのは2週間から1ヶ月くらいかかるから。まだ打ってないも同然だよ。
え、えええええええええ!
そうだったのか……。
Q.じゃあ少なくともあと2週間は密室になる地下鉄とかには乗れないですね。
A.あんたどうやって生きてくつもりなの?働けないでしょそれじゃあ。
だいぶぶっちゃけた性格の先生でした。
でも実際の現場ってこういうもんなのかもしれないなぁ。
大事なのはパニックを起こすのでなく、
正しい知識をもって、対策を行い、普段の生活を保つこと。
人々の生活を守る町医者の先生らしい回答だなぁと思いました。
とりあえずワクチンが効くまであと2週間はできるだけ大人しくしてることにします。
効果のある対策
麻疹ウイルスは「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」どの経路でも感染する可能性があり、
また、咳が届く2メートル以内が危険といわれるインフルエンザと比べ、
麻疹ウイルスは同じ密室にいるだけで感染するほどの感染力の高さです。
やはり一番の対策はワクチンの予防接種。
そして人混みを避けて、はしかの疑いがある人との接触を避けること。
とはいえ人混みを避けろといわれても、
そうも言ってられないのも現代社会ですよね。
はしかはマスクでは防げないといわれています。
なぜならウイルスの直径がとても小さく、普通のマスクだと簡単に通過してしまうからです。
そして感染力の高さからうがいや手洗いも効果が薄いと言われています。
はたしてそれは本当に意味がないのでしょうか。
例えば、医療従事者が着用しているN95マスクは0.3μm以上の微粒子を95%以上捕集することができる特殊なマスクです。
普通のマスクより呼吸器感染のリスクを下げる効果が期待でき、病棟では面会する家族が装着したりもします。
実際N95マスクが麻疹に効果があるかどうかは、それに関する医療文献がほとんど無いことから示せる根拠がありません。
(N95マスクは0.3μmつまり300nm以上の微粒子ならほとんどとらえるのに対し、麻疹ウイルスの大きさは100〜250nmといわれています。とても微妙!)
しかし今でも麻疹患者への診療の際は用いられているように、全く意味のないというわけではないのでしょう。
また、ウイルスには「エンベローブ」という膜があるものと無いものがあります。
麻疹ウイルスは膜のあるエンベローブウイルスで、
一般的にエンベローブウイルスにはアルコール消毒剤が効くといわれています。
なので手洗いをする際はエタノールなどの消毒液を用いた方が良いでしょう。
N95マスクもエタノールでの消毒も、これで麻疹を防げるというものではありません。
しかし、効果が無いからといって全く何もしないのであれば、それこそ無防備な身体を晒すだけです。
予防接種が第一。
人混みを避けるのが第二。
それ以外にも感染症に対する正しい知識をつけ、
自分のできる範囲で対策を行なっていくことが大切だと思います。
まとめ
最近急に流行りだしたはしか。
でも実は毎年この時期になると問題にはなっているんですよね。
ぼくは恥ずかしい話、興味が無かったので全く知りませんでした。
自分だけでなく、周りの人の健康も脅かす危険がある感染症。
報道を観てパニックにならずに正しい対策と知識を学んでいきたいものです。
【参考サイト】
厚生労働省「麻しんについて」
国立感染症研究所「麻しんQ&A」